教育・子育て

子どもが友達を叩く・突き飛ばす原因は?その場での正しい対応とNG行動

2026年5月27日

 

はじめに

「また叩いてしまった…」「突き飛ばして相手の子を泣かせてしまった」——そのたびに、深く落ち込んでいる保護者の方へ。子どもがお友達に手を出してしまう行動は、「乱暴な子だから」でも「育て方が悪いから」でもありません。発達の過程で、言葉の代わりに体を使って気持ちを伝えようとしているサインです。この記事では、行動の背景にある本当の理由と、保護者・保育者として今日から実践できる具体的な対応をお伝えします。

💡「叩く・突き飛ばす」は乱暴ではなくSOSのサイン

まず、大前提としてお伝えしたいことがあります。乳幼児期の子どもが友達を叩いたり突き飛ばしたりする行動は、多くの場合「乱暴な子」の証拠ではありません

人間は、言語能力が十分に発達して初めて「悲しい」「嫌だ」「貸してほしい」という感情を言葉にできるようになります。しかし小さな子どもは、感情が先に生まれても、それを言葉に変換する脳の機能がまだ育ちきっていません。その結果、感情が体の動き——手を出す、押す——として直接表れるのです。

💡 発達の視点から考える

保育・発達支援の現場では、叩く・噛む・突き飛ばすといった行動を「問題行動」ではなく、「言葉の代わりに体で気持ちを伝えようとしている状態」として捉えます。この視点に立つことで、子どもを責めるのではなく、必要なスキルを育てるサポートへと意識が変わります。

もちろん、相手の子どもが傷ついていることは事実であり、行動そのものは止めなければなりません。ただし「叱って終わり」では根本的な解決にはならず、「なぜ手が出たのか」を読み解くことが、再発防止の本当のスタートラインです。

🔍行動の裏にある5つの理由

子どもが友達を叩いたり突き飛ばしたりするとき、その背景には必ず何らかの理由があります。代表的な5つを整理します。

1
言葉がまだ追いついていない(言語能力の未発達) 「貸して」「やめて」「一緒に遊びたい」という気持ちはあるのに、それを言葉にする力がまだ育っていない状態です。特に入園間もない時期や、2〜3歳の時期に多く見られます。気持ちと言語能力のギャップが大きいほど、体が先に動きやすくなります。
2
注目してほしい(注目獲得) 叩くと大人が飛んでくる、自分を見てくれる——という経験を繰り返すうちに、「手を出すと注目してもらえる」と学習することがあります。これは「かまってほしい」という気持ちの裏返しです。
3
ストレスや不安が溜まっている(環境のストレス) 家庭内の緊張、生活リズムの乱れ、新しい環境への適応など、日常的なストレスが情緒の不安定につながることがあります。子どもは大人のように「ストレスを感じている」と自覚して言語化できないため、行動として外に出やすくなります。
4
「やったら手に入った」という経験(成功体験の誤学習) 以前に、押したらおもちゃを取れた、突き飛ばしたら場所を確保できた——そういった経験が「有効な手段」として記憶されているケースです。悪意はなく、過去の経験から自然に学んでしまった結果です。
5
感覚的な刺激を求めている(感覚探求) 触れる・押すという感覚そのものに興味があり、力加減がわからないまま行動してしまうことがあります。特に感覚処理に特性がある子どもに見られる場合があります。
⚠️ 複数の理由が重なっているケースも

上記の理由は単独ではなく、「言葉が出にくい+ストレスが溜まっている」のように複数が重なって現れることも少なくありません。「なぜ手が出たのか」を一つの答えで決めつけず、その子の全体像を丁寧に観察することが大切です。

📅年齢別に見る「手が出やすい」時期の特徴

「手が出る」行動には、年齢ごとの発達の特徴が関係しています。時期を知ることで、「うちの子だけ」という焦りが和らぎ、適切なサポートを考えやすくなります。

🍼
0〜1歳:探索と感覚の時期 「叩く」というより「触れる・つかむ」感覚を楽しんでいる時期です。力加減の感覚がまだ育っておらず、触ろうとした行為が相手を傷つけることがあります。悪意はほぼありません。
😤
1〜2歳:自己主張が爆発する「イヤイヤ期」 「自分でやりたい」「これは自分のもの」という気持ちが急に強くなる時期です。しかし言語能力がまだ追いついていないため、感情が体として出やすくなります。この時期の他害は発達の自然なプロセスの一部です。
🧒
2〜3歳:社会性を学び始める時期 友達と一緒に遊びたい気持ちが育つ一方で、「貸して」「順番」「一緒に」という概念をまだ学んでいる最中です。うまくいかないもどかしさが手に出やすい時期で、入園後に増えることがよくあります。
👦
3歳以上:言葉が増えても「感情調整」が追いつかない時期 語彙は増えてきますが、感情のコントロール(特に「怒り」の抑制)はまだ発達の途上にあります。「言葉は知っているのに体が先に動いてしまう」場面が見られます。この時期には「代替スキル」を繰り返し練習することが効果的です。
💡 「手が出なくなる」時期は個人差があります

言語発達や感情調整能力の成熟には、大きな個人差があります。周りの子と比べて「うちの子だけ遅い」と感じても、多くの場合は発達の範囲内です。ただし下記のような状態が続く場合は、早めに専門機関へ相談することをおすすめします。

  • 他害の頻度や強度が日を追うごとに増している
  • 言語発達に大幅な遅れがある(2歳を過ぎても有意味語がほとんど出ない など)
  • 家庭・園どちらの場面でも生活に支障が出るほど情緒が不安定
  • 自分を傷つける行動(頭を打ちつける、自分を噛む など)も見られる

現場でできる!その場での正しい対応

手が出た瞬間、大人はどう動けばいいのでしょうか。叱り方・止め方・その後の声かけの流れを整理します。

基本の対応ステップ

1
まず止める——落ち着いた声・短い言葉で

大声で怒鳴るのではなく、落ち着いたトーンで「叩いたら痛いよ」「押したらダメだよ」と短く伝えます。長い説教は子どもには届きにくく、感情を高ぶらせるだけになりやすいです。

2
気持ちを代弁する

子どもの気持ちを大人が言語化してあげます。「これが使いたかったんだね」「一緒に遊びたかったんだね」と伝えることで、子どもは「自分の気持ちがわかってもらえた」と感じ、次第に落ち着きやすくなります。

3
代替の言葉・行動を教える

「叩かない」と禁止するだけでは、次に何をすればいいかが子どもにはわかりません。「貸してって言ってみよう」「嫌なときは『いや』って言おう」と、代わりの手段を具体的に示すことが大切です。

4
相手の子どもの気持ちにも寄り添う

「〇〇ちゃん、痛かったね。ごめんね、って言えるかな?」と、謝るという行動を導きます。ただし強制するのではなく、子ども自身が「謝りたい」と思えるような関わりをゆっくり育てていきます。

気持ちを代弁する「言葉の例」

🧒
こんな場面で使える おもちゃを取られて叩いてしまったとき
➡ 「そのおもちゃで遊びたかったんだね。でも叩くと痛いから、『貸して』って言ってみよう
🧒
こんな場面で使える 入れてもらえなくて突き飛ばしてしまったとき
➡ 「一緒に遊びたかったんだね。『いれて』って言えると、お友達も喜ぶよ
🧒
こんな場面で使える 嫌なことをされて手が出てしまったとき
➡ 「嫌だったんだね。そういうときは『やめて』って声に出してみよう。先生(お母さん)も助けるよ」

🚫絶対にやってはいけないNG対応

よかれと思った対応が、実は逆効果になっていることがあります。子どもの発達と心理の観点から、やってはいけない対応を確認しておきましょう。

✅ 推奨される対応
落ち着いたトーンで短く「叩いたら痛いよ」と伝える
「貸してって言ってみよう」と代替行動を示す
「これが使いたかったんだね」と気持ちを代弁する
行動ではなく、気持ちに共感してから指摘する
落ち着いたあとに「どうすればよかったか」を一緒に考える
❌ NGな対応
叩き返す・「痛いでしょ!」と同じことをする
暴力が解決手段だと学習させてしまう
大声で怒鳴る・人格を否定する言葉を使う
恐怖心を与え、自己肯定感を著しく低下させる
無視する・見て見ぬふりをする
大人への不信感が強まり、SOSを出せなくなる
長時間の説教・同じことを繰り返す
子どもの理解力を超えた指導は逆効果
⚠️ 「叩き返す」はなぜいけないのか

「叩かれたら痛いってわかるでしょ」という意図で叩き返す対応は、一見理にかなっているように見えます。しかし子どもは「大人(信頼している人)が叩いた」という事実から、「力で解決していい」というメッセージを学習します。これは行動をさらに強化する結果につながるため、どんな理由があっても避けるべき対応です。

🏠家庭でできる「言葉で伝える力」の育て方

その場の対応だけでなく、日常生活の中で「気持ちを言葉にする力」を育てることが、長期的な解決につながります。特別な訓練は必要ありません。日々の小さな関わりの積み重ねが、子どもの語彙と感情表現の力を育てます。

🗣️
感情に「名前」をつけてあげる 子どもが泣いたり怒ったりしたとき、「悲しかったんだね」「悔しかったね」と感情を言語化して返してあげましょう。子どもは大人の言葉を聞くことで、少しずつ感情の名前を覚えていきます。
📖
絵本・ごっこ遊びで「社会のルール」を体験させる 「貸して」「いれて」「ありがとう」のやり取りが出てくる絵本の読み聞かせや、人形遊びでのロールプレイは、実際の場面で使える言葉を安全に練習する良い機会になります。
🌙
生活リズムを整える 睡眠不足や食事の乱れは、感情のコントロールを難しくします。十分な睡眠・規則的な食事・適度な運動という基本的な生活リズムを整えることが、情緒の安定につながります。
💬
「うまく言えたこと」を積極的に褒める 「貸して」と言えた、「いや」と言葉で断れた——そういった小さな場面を見逃さず、「ちゃんと言葉で言えたね!すごい!」と肯定することで、言語での表現が「うまくいく手段」として定着していきます。
💡 「叩かなかった」ことも褒めるチャンス

叩きたくなったのに我慢できた場面があれば、それは大きな成長です。「さっき嫌だったけど叩かなかったね。えらかったよ」という声かけが、子どもの「我慢できた」という自己肯定感を積み上げます。

🏥「もしかして…」と思ったら——専門機関への相談の目安

日常の関わりを丁寧に続けても、行動がなかなか落ち着かない場合があります。そのようなとき、「もっと頑張らないと」と保護者一人で抱え込む必要はありません。専門家に相談することは、子どもにとっても保護者にとっても、サポートを増やす前向きな選択です。

こんなサインが続くときは相談を

📈
他害の頻度・強度が増している 「最近どんどんひどくなっている」「怪我をさせてしまうほど強くなってきた」という場合は、何らかのサポートが必要なサインである可能性があります。
🗣️
言語発達に大幅な遅れがある 2歳を過ぎても有意味語がほとんど出ない、3歳を過ぎても2語文が出にくいといった場合は、言語発達の専門的な評価が有効なことがあります。言葉の育ちを支えることが、他害の軽減につながるケースも多くあります。
😰
生活全体に支障が出るほど情緒が不安定 食事・睡眠・登園など、日常生活のあらゆる場面で激しいかんしゃくや混乱が続く場合は、発達や心理的な要因を丁寧に確認することが助けになることがあります。
🤕
自分を傷つける行動も見られる 頭を壁に打ちつける、自分の手を噛むなど、他害と同時に自傷行為が見られる場合は、早めの専門的評価が推奨されます。これらは子どものSOSのサインである可能性があります。

どこに相談すればいい?

1
かかりつけ小児科医 まず最初に相談しやすい窓口です。発達面の心配を伝えると、専門機関への紹介状を書いてもらえることがあります。
2
市区町村の子育て相談窓口・保健センター 乳幼児健診の際や、電話・来所相談として気軽に利用できます。発達相談員や保健師が対応し、必要に応じて専門機関につないでもらえます。
3
児童発達支援センター・発達障害者支援センター 発達に関する専門的な評価や療育を受けられる機関です。診断の有無にかかわらず相談でき、必要に応じて受給者証を取得して継続的な支援につなぐことができます。
4
小児神経科・児童精神科 他害や自傷が激しい・情緒の不安定が著しいといった場合に、医学的な評価や必要に応じた治療的サポートを受けられる専門医療機関です。かかりつけ医からの紹介で受診するのが一般的です。
💡 「相談 = 診断を受ける」ではありません

専門機関に相談することは、「障害があると決めつけること」ではありません。子どもの困りごとを正確に理解し、より的確なサポートを見つけるためのプロセスです。「大げさかな」と思わず、気になる段階で早めに動くことが、子どもにとっても保護者にとっても助けになります。

子どもが友達を傷つけてしまったとき、保護者として最も不安なのは「相手の親御さんにどう伝えるか」ではないでしょうか。誠実な対応が、その後の関係を守ります。

基本の対応フロー

1
事実を正確に把握する

「いつ・どこで・何が起きたのか・どんな怪我だったか」を関係する子どもや保育者から確認します。憶測で動くと、誤解を生むリスクがあります。

2
口頭でお詫びする(連絡帳だけで済ませない)

お迎えの際や電話で直接状況を伝え、誠意をもってお詫びします。連絡帳のみで対応すると「軽く扱われた」という印象を与えかねません。

3
応急処置の内容と今後の見守りを伝える

「どのような手当てをしたか」「受診の必要性」を明確に説明します。また「今後どのように気をつけるか」の具体的な方針を示すことで、相手の不安を和らげます。

4
保護者同士を直接対面させない

感情が高ぶっている状態での保護者同士の直接交渉は、誤解や対立を生みやすいです。園・施設が間に入り、双方の話を丁寧に聞いて調整することが望ましい対応です。

⚠️ 保護者として「謝りすぎる」ことへの注意

誠実に謝ることは大切ですが、「うちの子は乱暴な子で…」と自分の子どもを否定する言葉は避けましょう。子どもの行動に謝罪しつつも、「言葉で伝える力を一緒に育てている最中です」という姿勢で向き合うことが、長期的には子どもの自己肯定感を守ることにつながります。

📝 この記事のまとめ
  • 叩く・突き飛ばす行動は「乱暴」ではなく、言葉の代わりに気持ちを伝えようとしているサインです。
  • 背景には「言語未発達・注目獲得・ストレス・誤学習・感覚探求」の5つの理由が関わっています。
  • その場での対応は「止める→気持ちを代弁→代替行動を教える」の3ステップが基本です。
  • 叩き返す・怒鳴る・無視するはいずれも逆効果。行動ではなく気持ちに寄り添うことが大切です。
  • 日常生活の中で感情に名前をつける・ロールプレイ・褒めるを積み重ねることが長期的な解決につながります。
  • 他害が激しい・頻度が増す・言語発達の大幅な遅れ・自傷行為が見られるときは、小児科や発達相談窓口への早めの相談が助けになります。
  • トラブル発生時は、事実確認→口頭での謝罪→再発防止策の提示をセットで行いましょう。
  • 子どもを責めるより「気持ちを言葉にできた」小さな成長を見つけて積み上げることが、根本的な支援です。
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  • この記事を書いた人

いつき

教育×エンタメライティングのプロ!|台本制作歴10年以上|短編ドラマやプロモーション動画で心を動かすストーリーを創出|24歳でビジネス書を2冊出版|新規のお仕事はお問い合わせで受け付けてます!

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