はじめに
「もらえるはずのお金を、知らないまま逃していないだろうか」
子育て中の家庭にとって、公的な支援制度は家計を支える大きな柱です。
自分は児童発達支援や放課後等デイサービスの現場で、保護者の方から「こんな制度があるなんて知らなかった」という声を何度も聞いてきました。
実際、国の子育て支援制度は2025年から2026年にかけて大きく変わっており、以前の情報のままだと損をしてしまう場面もあります。
この記事では、2026年9月時点で国が実施している主な給付金・支援制度を、子どもの成長段階ごとに整理しました。
金額や条件はすべて、こども家庭庁・文部科学省・厚生労働省などの公的機関が公表している情報をもとにまとめています。
この記事でわかること
・妊娠・出産期にもらえるお金
・育休中・時短勤務中にもらえるお金(2025年に新設された給付を含む)
・児童手当や保育・教育費の支援(2026年に拡充された制度を含む)
・ひとり親家庭への支援
妊娠・出産期にもらえるお金
妊婦のための支援給付(合計10万円)
妊娠・出産を迎える方を対象に、1回目に5万円、2回目に胎児1人あたり5万円が支給される制度です。
単胎であれば合計10万円、双子であれば2回目が10万円となるため合計15万円になります。
もともとは「出産・子育て応援交付金」として実施されていた事業ですが、2025年度から法律に基づく制度として位置づけられました。
面談などの伴走型相談支援とセットで実施されるのが特徴です。
1回目は医療機関で胎児心拍が確認された後、2回目は出産予定日の8週間前以降が申請の目安となります。申請の窓口や必要書類は市区町村ごとに異なるため、母子健康手帳の交付時に確認しておくと安心です。
出産育児一時金(原則50万円)
公的医療保険に加入している方が出産したとき、子ども1人につき原則50万円が支給されます。
多くの医療機関では「直接支払制度」が利用でき、この場合は出産費用から一時金が差し引かれるため、窓口での負担が抑えられます。
出産費用が50万円を下回った場合は、差額を後から請求できます。請求し忘れが起こりやすい部分なので、退院時に明細を確認しておくことをおすすめします。
育休中・時短勤務中にもらえるお金
2025年4月、雇用保険から支給される給付に2つの制度が新設されました。ここは特に情報が更新されている部分です。
育児休業給付金
育児休業を取得した雇用保険の被保険者に支給される、従来からある給付です。
休業開始時の賃金をもとに計算され、一定期間は休業前賃金の67%、その後は50%が支給されます。
出生後休業支援給付金(2025年4月新設)
両親がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合に、最大28日間、休業前賃金の13%が上乗せして支給される制度です。
育児休業給付金の67%と合わせることで、実質的に休業前の手取り10割相当になるよう設計されています。
「収入が下がるから育休を取りづらい」という声に応える形で作られた制度です。父親の育休取得を後押しする内容になっています。
育児時短就業給付金(2025年4月新設)
2歳未満の子を育てるために時短勤務を選んだ場合、賃金の一部が給付される制度です。
フルタイムに戻すか時短を続けるかで悩む家庭にとって、選択肢を広げる仕組みといえます。
いずれも勤務先を通じた手続きになるため、育休に入る前の段階で人事・総務の担当者に確認しておくとスムーズです。
子どもの成長に応じて受けられる支援
児童手当(2024年10月に大きく拡充)
子育て支援の中心となる制度です。2024年10月分から所得制限が撤廃され、支給期間も高校生年代まで延長されました。
- 3歳未満:月額15,000円(第3子以降は30,000円)
- 3歳から高校生年代(18歳到達後の最初の3月31日)まで:月額10,000円(第3子以降は30,000円)
- 所得制限なし
- 偶数月(2・4・6・8・10・12月)に年6回、2か月分ずつ支給
見落とされやすいのが第3子以降のカウント方法です。
2024年10月の改正で、カウントの対象が18歳年度末までの子から22歳年度末(大学生年代)までの子に広がりました。生活費や学費の相当部分を負担している場合が対象で、同居・別居は問われません。
ただし、大学生年代の子を算定に含めるには「監護相当・生計費の負担についての確認書」の提出が必要です。上の子が大学生になった家庭は、一度自治体に確認してみてください。
幼児教育・保育の無償化
3歳から5歳までの子どもの幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料が、原則として無償になる制度です。
0歳から2歳までについては、住民税非課税世帯が対象となります。
なお、給食費・行事費・通園送迎費などは対象外となる場合が多いため、実際の負担額は園に確認しておくと安心です。
こども誰でも通園制度(2026年4月から全国で本格実施)
2026年4月から全国で本格的に始まった、比較的新しい制度です。
保護者の就労状況にかかわらず、生後6か月から3歳未満の子どもを、月10時間まで保育所などに預けられます。
これまで「働いていないと保育所は利用できない」と考えて孤立しがちだった家庭にとって、大きな選択肢になります。
自分が現場で見てきた中でも、少しの時間でも子どもと離れて休息が取れることが、保護者の余裕につながる場面を何度も目にしてきました。
利用には自治体への申請と承認が必要です。受け入れ枠には限りがあるため、早めの情報収集をおすすめします。
教育費に関する支援
高等学校等就学支援金(2026年4月から所得制限を撤廃)
高校の授業料を支援する制度で、2026年4月から大きく変わりました。
所得制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず支援を受けられるようになっています。
- 公立高校:年額11万8,800円
- 私立高校(全日制):年額45万7,000円
- 私立通信制:年額33万7,000円
私立の上限額は全国の私立高校の平均授業料に相当する水準まで引き上げられました。在校生も対象となるため、すでに高校に通っているご家庭も確認が必要です。
申請は学校を通じて行い、オンラインシステム(e-Shien)から手続きします。申請しなければ支給されないため、学校からの案内を必ず確認してください。
多子世帯の大学等授業料無償化(2025年度から)
子どもを3人以上扶養している世帯を対象に、大学・短大・高専・専門学校の授業料と入学金が、国が定める一定額まで所得制限なしで減免される制度です。
ただし全額が無償になるわけではなく、上限額が設けられています。また、扶養している子どもが3人以上であることが条件のため、上の子が扶養を外れると対象外になる点には注意が必要です。
ひとり親家庭への支援
児童扶養手当
ひとり親家庭などを対象に支給される手当です。物価の変動に応じて毎年度見直され、2026年4月分から3.2%引き上げられました。
- 第1子:全部支給で月額48,050円(一部支給は48,040円〜11,340円)
- 第2子以降:1人につき11,350円を加算(一部支給は11,340円〜5,680円)
支給額は所得に応じて変わります。年6回、奇数月に前月までの2か月分が支給されます。
申請するときに気をつけたいこと
ほとんどの制度は「申請しないともらえない」
日本の公的支援の多くは申請主義です。条件を満たしていても、自分で手続きをしなければ支給されません。
出産や入学など、生活が大きく変わるタイミングでは、市区町村の窓口で「使える制度はありますか」と一度まとめて確認するのが確実です。
自治体独自の上乗せ制度がある
ここで紹介したのは国の制度ですが、これに加えて自治体が独自の支援を行っている場合があります。
特に子どもの医療費助成は自治体ごとに対象年齢や自己負担額が大きく異なるため、お住まいの地域の情報を確認してください。
自治体ごとの支援制度の違いについては、以下の記事でも触れています。
制度は年度ごとに変わる
この記事は2026年9月時点の情報をもとにまとめています。
金額や条件は改正されることがあるため、実際に申請する際は、こども家庭庁や文部科学省の公式サイト、お住まいの自治体の最新情報を必ずご確認ください。
まとめ
国の子育て支援制度は、この数年で大きく手厚くなっています。
- 妊娠期は「妊婦のための支援給付」で合計10万円、出産時は一時金50万円
- 2025年4月から育休・時短の給付が新設され、収入面の不安が軽減された
- 児童手当は所得制限なし・高校生年代まで。第3子カウントは22歳年度末まで
- 2026年4月から高校授業料支援の所得制限が撤廃され、こども誰でも通園制度も本格実施
制度を知っているかどうかで、家計の負担も、子育ての選択肢も変わってきます。
まずは「自分の家庭が使える制度はどれか」を一度整理してみてください。
遊びながら思考力や創造力を育てる教材を取り入れてみるのもおすすめです。
