はじめに
「うちの子、本をまったく読まないんです」
「本を渡しても、数ページで閉じてしまう」
読書の秋になると、こうした声をよく耳にします。
本を読んでほしいと思うほど、「読みなさい」と言ってしまい、かえって本から遠ざけてしまう。そんな悪循環に悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。
自分は児童発達支援や放課後等デイサービスの現場で子どもたちと関わりながら、『小学生でもわかる読書の教科書』という本も書いてきました。
その経験から感じているのは、本が嫌いな子の多くは、「本」が嫌いなのではなく「読書にまつわる何か」が嫌いだということです。
この記事では、最新の調査データと現場での経験をもとに、本嫌いの子が読書を楽しめるようになるための家庭での関わり方をお伝えします。
この記事でわかること
- 最新調査でみる子どもの読書の実態
- 子どもが本嫌いになる5つの理由
- 家庭でできる6つの関わり方
- 文字を読むこと自体が苦手な子への工夫
- やりがちなNG対応
最新調査でみる子どもの読書

全国学校図書館協議会の「第70回学校読書調査」(2025年)によると、5月の1か月間の平均読書冊数と、1冊も読まなかった子どもの割合(不読率)は次のとおりでした。
| 学校種 | 平均読書冊数 | 不読率 |
|---|---|---|
| 小学生(4〜6年生) | 12.1冊 | 9.6% |
| 中学生 | 3.9冊 | 24.2% |
| 高校生 | 1.4冊 | 55.7% |
小学生の不読率が9%を超えたのは、2003年以降で初めてのことです。中学生も、読書離れが指摘されていた2000年代の水準に近づいています。
一方で、小学生は1か月に平均12冊読んでいるという見方もできます。
読む子はたくさん読み、読まない子はまったく読まない。二極化が進んでいると考えると、「うちの子だけ読まない」と感じやすいのも無理はありません。
また、学年が上がるにつれて読書量が大きく減ることもわかります。部活や塾で忙しくなることに加え、スマホや動画との時間の取り合いも影響していると考えられます。スマホとの付き合い方は子どもにスマホは何歳から?最新調査でわかる利用実態と家庭のルールづくりで解説しています。
子どもが本嫌いになる5つの理由
1.読書が「勉強」になっている
「本を読むと頭が良くなるよ」「国語の成績のために読みなさい」。
こう言われて渡された本は、子どもにとって宿題と同じものになります。楽しむためではなく、やらされるものになった瞬間、読書は苦痛に変わります。
2.読む本を選ばせてもらえない
大人が「良い本」だと思う本と、子どもが読みたい本は、たいてい違います。
現場でも、名作を渡されても開かない子が、好きなキャラクターの本や図鑑なら夢中で読む姿を何度も見てきました。
3.読んだあとに感想を求められる
「どうだった?」「どんなお話だった?」と毎回聞かれると、読むこと自体より「感想を言わなければいけない」ことが負担になります。
読書感想文の苦い記憶から、本そのものを避けるようになる子も少なくありません。
4.文字を読むこと自体に負担がある
文字を目で追う、行を飛ばさずに読む、読んだ内容を頭に留めておく。
これらが人より大変な子にとって、1冊の本を読み切ることは、大人が想像する以上に疲れる作業です。「本嫌い」に見えて、実は「読むのが大変」なだけというケースは珍しくありません。
5.他に楽しいことがたくさんある
動画やゲームは、何もしなくても次々と刺激が届きます。
それに比べて本は、自分で読み進めなければ何も始まりません。本がつまらないのではなく、楽しさにたどり着くまでのハードルが高いのです。
家庭でできる6つの関わり方

1.図鑑・マンガ・雑誌も「読書」に数える
まずは「読書とは物語を読むこと」という思い込みを外しましょう。
図鑑、学習マンガ、ゲームの攻略本、乗り物の雑誌。文字や絵から情報を読み取っている時点で、それは立派な読書です。好きなものを入り口にすると、自然と読む量が増えていきます。
2.本を選ぶ自由を渡す
図書館や書店では、子どもが自分で本を選ぶ時間をつくります。
大人から見て物足りない本でも、口を出さずに見守ること。「自分で選んだ本」は、それだけで読む動機になります。
3.読み聞かせは何歳まで続けてもいい
「もう自分で読めるでしょ」と、小学校に入ると読み聞かせをやめてしまう家庭は多いものです。
けれど、自分で読むのはまだ大変でも、聞いて楽しむことならできる子はたくさんいます。物語の楽しさを知ることが、自分で読みたい気持ちにつながっていきます。
4.感想は聞かない。聞くなら一言だけ
読み終わったあとに、毎回感想を求める必要はありません。
どうしても聞きたいときは、「どこが一番おもしろかった?」「誰が好きだった?」など、一言で答えられる問いにします。答えたくなさそうなら、それ以上は聞かないことも大切です。
5.大人が読んでいる姿を見せる
子どもは、言われたことより、見ていることをまねします。
保護者がスマホではなく本を開いている姿は、「読書は大人も楽しんでいるもの」というメッセージになります。
6.手に取りやすい場所に本を置く
本棚にしまい込むより、リビングのテーブルやソファの横に、表紙が見えるように置いておくのがおすすめです。
目に入る場所にあるだけで、ふとした時間に手に取る回数が増えます。
文字を読むこと自体が苦手な子への工夫
読むことに強い負担を感じている子には、読む方法そのものを変えてみます。
- 耳から楽しむ:読み聞かせやオーディオブックで、物語の楽しさを先に知る
- 文字量の少ない本から:絵本や、1ページの文字が少ない本から始める
- 読む範囲を見えるようにする:定規や細長い紙を行に当てて、読んでいる場所がわかるようにする
- 交代で読む:1ページずつ保護者と交互に読み、負担を分け合う
音読のときに行を飛ばす、よく似た文字を読み間違える、読むのに極端に時間がかかる、といった様子が続く場合は、学習障害(LD)の一つである読字の困難が背景にあることもあります。詳しくは【2026年最新】LD(学習障害)とは?タイプ別特徴と学び方を変えるICT活用法をご覧ください。
読む力そのものを家庭で育てる方法は、【ご家庭でできる】子どもの読解力を高める魔法の習慣5選にまとめています。
「読書週間」を図書館へ行くきっかけに
毎年10月27日から11月9日までは「読書週間」です。2026年は第80回を迎え、標語は「静かだけど、冒険中。」に決まっています。
この時期は、図書館や書店で子ども向けのイベントやフェアが開かれることも多くあります。
「本を読みなさい」と言う代わりに、「今度の休み、図書館に行ってみない?」と誘ってみる。読書を課題ではなく、お出かけの一つにすることが、本との距離を縮める第一歩になります。
やりがちなNG対応

- 「本を読まないとバカになる」と脅す……読書が罰や義務のイメージと結びついてしまいます
- 読む本を大人が決める……「自分で選んだ」という動機を奪ってしまいます
- 冊数やページ数を競わせる……量を目的にすると、楽しむことから離れてしまいます
- 途中でやめることを許さない……合わない本は途中でやめていい、と伝えるほうが次の1冊につながります
まとめ
最新の調査では、小学生の不読率が2003年以降で初めて9%を超えました。
けれど、本を読まない子の多くは、本そのものが嫌いなわけではありません。読書が勉強になっていたり、選ぶ自由がなかったり、読むこと自体が大変だったりと、その手前でつまずいていることがほとんどです。
図鑑やマンガも読書に数え、自分で選ばせ、感想を求めない。
「読ませる」から「一緒に楽しむ」へ。関わり方を少し変えるだけで、子どもと本の距離は近づいていきます。読書を楽しめた経験は、「自分はできる」という感覚にもつながります。子どもの自己肯定感の育て方とは?もあわせてご覧ください。
読書の意味や楽しみ方を子どもに向けてまとめた著書『小学生でもわかる読書の教科書』もあります。親子で読めるように書いていますので、よろしければAmazonの著者ページからご覧ください。
※調査データは、全国学校図書館協議会「第70回学校読書調査」(2025年)によるものです。
本以外にも、遊びながら考える楽しさにふれられる教材を取り入れてみるのもおすすめです。
