はじめに
おもちゃの取り合いで毎日ケンカになる。
「お姉ちゃんなんだから我慢して」と言うたびに、上の子の表情が曇っていく。
そんな場面に、どう対応すればいいのか悩んでいる保護者の方は少なくありません。
自分は児童発達支援や放課後等デイサービスの現場で、子ども同士のトラブルに数多く立ち会ってきました。
その経験から感じているのは、きょうだいげんかは止めるべき問題行動ではなく、子どもが社会性を学ぶ大切な練習の場でもあるということです。
この記事では、きょうだいげんかが起こる理由と、大人がやりがちなNG対応、そして家庭で取り入れやすい関わり方について、現場での経験をもとにお伝えします。
きょうだいげんかは悪いこと?
きょうだいげんかが続くと、「仲が悪いのでは」「育て方が間違っているのでは」と不安になる保護者の方も多いと思います。
しかし、きょうだいげんかは、子どもが自分の気持ちを主張し、相手の気持ちに気づき、折り合いをつける力を育てる練習の場でもあります。
安心できる関係だからこそ、遠慮なくぶつかり合えるという側面もあります。
大切なのは、ケンカをゼロにすることではなく、ケンカの後にどう関わるかです。
きょうだいげんかが起こりやすい理由
親の関心をめぐる競争
きょうだいげんかの背景には、「自分をもっと見てほしい」という気持ちが隠れていることがよくあります。
下の子が生まれた直後や、どちらかに手がかかる時期に、ケンカが増えるのはこのためです。
自分が現場で見てきた中でも、大人の注目を引きたいときにトラブルを起こす子どもは少なくありませんでした。
ケンカそのものより、その背景にある「見てほしい」という気持ちに目を向けることが対応のヒントになります。
発達段階の違いによるすれ違い
年齢が違えば、順番を待つ力や、相手の立場を想像する力にも差があります。
下の子は「まだ待てない」ことが多く、上の子は「なんで分かってくれないの」と感じやすい。このすれ違いがケンカにつながります。
順番を待つことの難しさについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
やりがちなNG対応
「お兄ちゃんなんだから」と我慢させる
つい口にしてしまいがちな言葉ですが、上の子にとっては「自分の気持ちは後回しにされる」という経験の積み重ねになってしまうことがあります。
年齢ではなく、その場の状況で判断する姿勢が大切です。
どちらが悪いかを決めようとする
「どっちが先に手を出したの」と犯人探しをすると、子どもは責任を逃れることに意識が向いてしまいます。
自分が現場で見てきた中でも、追及されるほど「自分は悪くない」と主張が強くなる場面が多くありました。
他責思考の背景については、以下の記事も参考にしてみてください。
家庭でできる関わり方
まず安全を確保し、両方の言い分を聞く
手が出そうな場面では、まず物理的に距離を取って安全を確保します。
そのうえで、どちらか一方だけでなく、両方の言い分を順番に聞いてあげてください。
「聞いてもらえた」という経験そのものが、子どもの気持ちを落ち着かせる効果があります。
気持ちを言葉にして代弁する
「使いたかったんだね」「急に取られて悔しかったんだね」と、それぞれの気持ちを言葉にして返してあげることが効果的です。
感情を言語化する経験の積み重ねが、子ども自身が気持ちを伝える力を育てていきます。
気持ちを言葉にする関わり方については、以下の記事でも紹介しています。
一人ひとりと過ごす時間をつくる
短い時間でかまわないので、それぞれの子どもと1対1で過ごす時間を意識的につくってみてください。
「自分は大切にされている」という実感が、きょうだい間の競争心をやわらげることにつながります。
手が出てしまうときの対応
叩く・突き飛ばすなど手が出てしまう場合は、まず安全確保を優先し、落ち着いてから理由を一緒に振り返ります。
その場での長い説教より、落ち着いた後の短い振り返りのほうが子どもには届きやすいとされています。
まとめ
きょうだいげんかは、なくすべき問題ではなく、子どもが社会性を学ぶ練習の場でもあります。
- ケンカの背景には「見てほしい」という気持ちが隠れていることがある
- 「お兄ちゃんなんだから」と年齢で我慢させないこと
- 犯人探しをせず、両方の言い分を聞くこと
- それぞれの気持ちを言葉にして代弁すること
- 一人ひとりと過ごす時間を意識的につくること
自分が現場で見てきた子どもたちも、大人が丁寧に間に入る経験を重ねる中で、少しずつ自分たちで折り合いをつけられるようになっていく姿を何度も見てきました。
今日から、どちらが悪いかを決めるより、両方の気持ちを言葉にすることを意識してみてください。
遊びながら思考力や創造力を育てる教材を取り入れてみるのもおすすめです。